2012年9月12日水曜日

高齢者に関する事故

   ◇今回は、高齢者に関する注意していただきたい事故事例をご紹介しま
    す。

   (事例1)【バランスを崩して転倒】

      踏み台を使用して作業中に転倒し、打撲を負った。脚部が破損し
      ていた。(60歳代)

    → 事故品の支柱の強度には異常が見られず、支柱端部が通常の使用
      における荷重方向とは異なる内側方向に変形していたことから、
      事故の原因は、使用者が踏み台に乗って作業中、体のバランスを
      崩して、片側支柱に荷重が集中したか、または、転倒した際に、
      製品に接触し衝撃的な荷重が加わり折損したものと推定されます。

   (事例2)【感覚機能の低下に伴う低温やけど】

      家人の世話によって、電子レンジ加熱式ゆたんぽに足をつけて就
      寝していたところ、足に低温やけどを負った。(70歳代)

    → 使用者は足が不自由で感覚が鈍い状態にあり、取扱説明書どおり
      の加熱では温かく感じなかったため、再加熱していることから、
      通常よりも高温となっている当該品に長時間同じ部位を接触させ
      たことで、低温やけどに至ったものと推定されます。

   (事例3)【製品の操作ミスによる事故】

      電動車いすで走行中に溜め池に転落した。転落時に軽い打撲・擦
      り傷を負い病院に入院したが、後日、肺炎を発症し死亡した。
      (70歳代)

    → 使用者が、Uターン時に曲がりきれず、スイッチを後退に切り替
      えたつもりだったが前進させてしまい池に落ちたと証言している
      ことから、被害者の運転ミスによる事故と推定される。

   (事例4)【グリルの消し忘れ】

      集合住宅の一室から出火して、同室約40平方メートルを全焼し、
      家人1人が煙を吸うなどして病院に搬送された。(60歳代)

    → 事故前にグリルで魚を焼いていることから、火の消し忘れにより、
      受け皿に溜まった油脂等が過熱し、火災に至ったものと推定され
      ます。


   ◇事例1、2のように、高齢者は身体機能及び感覚機能が低下している
    ことがあります。高齢者の自覚も必要ですが、周りの人も高所での作
    業を代わりにする、高齢者の感覚機能を把握するなど、配慮してくだ
    さい。

   ◇事例3のように、高齢者は新しいものへの適応に時間がかかるだけで
    なく、身体機能の低下により事故に遭う場合があります。製品の購入
    や買い換え時には事業者やケアマネージャー等に相談し使用者の体
    にあった製品を選択しましょう。また、操作が単純な使いやすい製品
    を選択し、使用方法に慣れるまではサポートなどしてください。

   ◇事例4のように、高齢者ではガスこんろやストーブの消し忘れによる
    事故が多いです。燃焼機器などは自動消火装置など安全装置のあるも
    のを選択してください。また、日頃からグリル庫内は清掃してくださ
    い。


独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)発行

【PSマガジンvol.176】9月11日号から抜粋