インターネットのホームページや携帯電話のサイトを閲覧していて、興味本位に出会い系サイトやアダルトサイトを表示したら、いきなり有料となって料金請求の画面に切り替わったというトラブルが多発しています。
このように一回だけクリックした直後にサイトで不当な料金請求がされることをワンクリック詐欺(または架空請求)といいます。
全く利用していないサービスなのに、いきなり料金の請求画面が表示されるとビックリしてしまうものです。
しかも、「IPアドレスから住所が特定できるので、支払わないと訴訟をする」というような警告文もあったりして、怖くなって振込みをしてしまうケースも見受けられます。特に学生や若年層の社会人が、そのような架空の請求に驚いて消費生活相談の窓口に問い合わせをされる事例は多いです。
ワンクリック詐欺のサイトの中には、請求の画面がパソコンに貼りついて再起動をしてもその画面が消えず、継続的に請求画面が表示されるものもあります。
(このような詐欺請求の画面を消すにはシステム復元をするのが有効とされています。システム復元の手順はIPAの解説ページをご参照下さい。)
サービスの申込み手続きをしていないのに、一方的に料金請求をしてくるようなサイトは、ほぼ間違いなく悪質業者です。そんな請求に応じる必要はありません。料金請求の画面を目にすると、つい支払いをしなければいけないような気持ちになってしまうこともありますが、有料であることの承諾をした覚えがないのに支払いをする理由はないのです。
電子消費者契約法では、サイトで売買契約を成立させるには事前に有料であることの表示をした上で、消費者が有料承諾のボタンをクリックする手順を設けるように指定されています。この有料承諾の手順を経ずに、一方的に料金を請求する画面が表示されるのは承諾の意思確認が不適切といえます。
消費生活相談窓口の相談事例の中には、携帯サイトを閲覧していて、次ページの案内をクリックしたら自動的に通話となり、その後に勝手に情報のダウンロードが始まってしまい、20万円近くの料金請求をされたという報告もありました。この件でも、相談者は有料承諾のボタンはクリックしていません。
解約をするためにメール送信をしたら、折り返し業者より電話が入り、「支払わないとNTTに依頼して住所と勤務先を調べて家族や上司に請求する」と脅されるケースも多いものです。
そんな脅しに屈して支払いをした場合には、悪質業者の所在地情報は架空であることが多いため、解約交渉や返金は難しくなります。
その上、様々な理由をつけて追加で架空請求をされるリスクも高まります。
こうした悪質サイトの料金請求に関する問題で、電話事業者やプロバイダが利用者の個人情報をサイト業者に教えることはありません。
また、サイトに表示されるIPアドレスによって住所が特定されるのが不安という相談もよくありますが、このIPアドレスだけでは住所などの個人情報は把握できません。そのため悪質業者に住所や電話番号を知られるということもありません。
(但し、スマートフォンで未承認アプリをダウンロードして個人情報を送信し、その後に詐欺請求の画面が表示された場合には、相手方に個人情報が把握されている可能性があります。)
このようにワンクリックだけで有料承諾を経ずに料金を請求するサイトは、契約が成立しているとはいえず、それだけでは悪質業者に個人情報を取得されることもないのです。
しかし、悪質サイトに解約手続をしようと思って、住所・氏名・電話番号を業者に教えてしまうと、それを悪用されて架空請求の電話や請求書の郵送が相次いでしまいます。
架空請求を行う悪質なサイトを閲覧してしまった場合には、絶対にサイト事業者に住所や電話番号を教えてはいけません。(閲覧者が個人情報を教えなければ、サイト業者からは連絡することができないのです。)
脅しの請求画面が表示されても、無視をすれば問題は起きないのです。慌ててサイト業者に連絡をすることは絶対に止めましょう。